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  『マクガフィン』劇場版 紹介  

 “5”の番号を先頭にした3桁のコードネームを持つ個性派揃いの探偵たちが活躍する『探偵事務所5』シリーズ。『マクガフィン』は、探偵事務所5の沖縄支部の探偵515が活躍する物語である。

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 探偵515(藤木勇人)は、故あって探偵事務所5本部に内緒で運転代行を副業とし、探偵業と二足ワラジの日々を過ごしている。そんなある日、幼い頃の記憶をなくした妊婦・成子(洞口依子)と出会う。絵本作家である成子の記憶探しの旅につき合うことになった探偵515はやがて、“MacGuffin”というキーワードにたどり着き、隠された成子の秘密が徐々に明かされていく…。
 少し呑気であるが成子の心を焦らずゆっくりと解きほぐしていく探偵515の優しさ、そして沖縄が米軍統治下であった頃の名残があるノスタルジックな風景に包まれたオール沖縄ロケのロード・ムービーである。
 
 沖縄で生まれ育った當間早志監督が『マクガフィン』に込めたのは、自身が幼少時代に体験した頃の沖縄への複雑な思いだ。『探偵事務所5』シリーズのエンターテインメントな世界を踏襲しながらも、沖縄本土復帰という歴史の節目の要素をメタファーとして織り込むことで、今までの”沖縄映画”とはひと味違った空気感を構築している。
 そしてもう一つ、今回の上映と同じタイミングで、成子役を演じた洞口依子さんのイベント『子宮会議』リーディング・セッションとも大きな関係があるのだ。
 そして當間監督がこの作品に込めたもう一つの思いが、子宮全摘出という大手術直後の副作用に苦しんでいた女優・洞口依子の再生への願いだ。彼女に敢えて妊婦役を演じさせることで、苦悩を乗り越えてほしかったのである。洞口もその思いに応えるかのように、『マクガフィン』の完成からしばらく経って自らの著書『子宮会議』を発表している。
“MacGuffin”に翻弄される515や成子と共に、沖縄の過去と現在が混在する迷宮ドライブを楽しんでほしい。
 
 もともとネットシネマとして製作された『マクガフィン』は、前・後編のそれぞれ30分ほどに分けられていたが、今回桜坂劇場で公開されるのは、當間監督によって1本の「劇場版」として再編集されたバージョンになっている。
 

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