本の価値/『デイ・アフター・トゥモロー』

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映画の中でよく登場する実際の図書館にニューヨーク公共図書館(New York Public Library:以下NYPL)があります。『ティファニーで朝食を』('61)や『ウィズ』('78)、『ゴーストバスターズ』('84)などなど。今回はその中から『デイ・アフター・トゥモロー』('04)です。

本が燃やされる?
地球温暖化が原因で急速な氷河期に襲われたニューヨーク。津波から逃れるためNYPLに逃げ込んだサム(ジェイク・ギレンホール)は気象学者の父(デニス・クエイド)に「外には出るな!」と言われ、館内に友人数人と留まります。


サムが暖炉に本をくべ入れているなか、NYPLの常連さんらしき男性が大切に本を抱えているのを見て同じく常連さんらしき女性が問いかけます。

  女性「その本は?」
  男性「『グーテンベルク聖書』だ。希少本の書庫にあったんだよ」
  女性「神の助けが必要なの?」
  男性「いや、私は神を信じてなんかいない」
  女性「大事そうに聖書を抱えてるのに?」
  男性「…守ってるんだ」
   (暖炉に本を投げ入れるサムを見る)
  男性「人類が印刷した最初の本だ。この本が“理性の時代”の到来を告げた。
     書物こそ人類最高の発明だ。笑われてもいい。西欧文明が滅亡するなら…
     せめてこの小さな一片だけでも後世に残したいんだ」

グーテンベルク聖書・外観 juku_230-01.jpg←慶応本グーテンベルク聖書・外観

(慶応義塾ホームページより)


司書としてそして本好きとして、男性の“本を大切にしたい”思いが伝わってジ〜ンときます。(嬉)
この『グーテンベルク聖書』の“グーテンベルク”とは、もちろん活版印刷を発明したヨハネス・グーテンベルクのこと。それ以前は写本によって本は受け継がれてきました。でもそれではあまりにも時間がかかり、また誤字脱字も多かったのですが、印刷技術の発明により安価で大量生産が可能になり「本」にとって大きな転機となりました。


juku_230-02.jpg

慶応本グーテンベルク聖書・中面→
(慶応義塾ホームページより)


そして今でも世界でNO.1ベストセラーを誇っている聖書が世界で初めて印刷された書物です。それが『グーテンベルク聖書』です。こちらは現在世界で48部が確認されています。アメリカではそのうち12部を所蔵していて、もちろんNYPLも所蔵しています。ちなみに日本では慶応義塾大学図書館に1部。なかなかお目にかかれない希少本に、映画のなかで雰囲気だけでも味わえてちょっと幸せ!


サムの友人の少女が意識を失い、みんなで彼女の病名を予想して混乱しているシーンでは、司書の女性が「燃やす以外にも本は役に立つのよ」と医学書を片手に颯爽と具体的な症状を所見し病名を言い当てます。
そうそう!というよりそれが本来の本の使い道ですよね!こんな非常時でもきちんと“司書”しているなんてプロだ!!その姿勢、勉強させていただきました(笑)。


本当に本好き?
と、ここまでは歴史的な意味を持つ本や知識や学習のための本の“価値”について述べてきましたが、個人的にちょっと面白かった“価値”観も。

サムが本を燃やそうと提案するシーンで司書と常連の男性は当然反対します。でもサムに「じゃ凍死する?」と言われ、常連の女性が「もっと本を(集めなきゃ)」と率先して本を集めようとすると男性も「じゃ僕も」とすぐに同意。司書は男性の変わり身の早さに「うそ〜ん!?」の表情。

常連さんでしょー!? 本好きでしょー!? もう少しためらってもいいじゃーん!!
と思わず私もツッコむ。

常連さんの男性と女性、そしてサムの友人が燃やすための本を集めるシーンでは

  男性「ニーチェだ。19世紀の偉大な哲学者の本を燃やすのか?」
  女性「妹に恋してたイカれた男よ」
  男性「イカれてなんかいないよ」
  女性「妹に恋してる男がまともな男だとでもいうの?」
  男性「…」
   (そこへサムの友人が登場)
  友人「ちょっと君たち、“税法”の書棚がある。全部燃やそう」

本を燃やすのに賛成ではあるけど、その中でも一応選書してるのね(笑)
しかもニーチェって妹に恋をしていたの?? う〜ん 知らなかった...。さすが常連さん いろいろなこと知ってます(笑)
なんだかんだ言いながらも、やっぱり本好きだったのね! 安心しました!! これも本の“価値”を知っているからこそできるのかもね(笑)


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『デイ・アフター・トゥモロー』(原題:『THE DAY AFTER TOMORROW』)
アメリカ/2004年/124分
配給:20世紀フォックス映画

監督:ローランド・エメリッヒ
製作:ローランド・エメリッヒ、マーク・ゴードン
制作総指揮:ステファニー・ジェルマン、ウテ・エメリッヒ、ケリー・ヴァン・ホーン
原作:ローランド・エメリッヒ
脚本:ローランド・エメリッヒ、ジェフリー・ナックマノフ
撮影:ウエリ・スタイガー
編集:デヴィッド・ブレナー
美術:マーティン・ジェンドロン...他
音楽:ハラルド・クローサー
出演:デニス・クエイド、ジェイク・ギレンホール、イアン・ホルム、
   エミー・ロッサム、サラ・ウォード...他

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コメント(2)

チロル :

>友人「ちょっと君たち、“税法”の書棚がある。全部燃やそう」

>本を燃やすのに賛成ではあるけど、その中でも一応選書してるのね(笑)

おいらも司書ですが↑にツボりました。
でい・あふたーは今まで興味なかったけど、いつかレンタルして観たいです。

カカズ :

★チロルさん

法律は常に変わりますから…ね!
司書の立場からみても“Good”な選書ではないかと(笑)
さりげないシーンですが、本に対する愛情が伝わるので私は気に入ってます♪


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このページは、カカズが2008年6月27日 23:42に書いたブログ記事です。

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